ということは、全部私の早とちり…?
全てを理解した私は、ひとり魔界の城に乗り込んできたことが急に恥ずかしくなった。
わけも聞かずに自分の気持ちだけ並べて、こんなの、お願いを聞いてほしくて駄々をこねる子どもみたいじゃないか。
一方、ルキはニヤリと口角を上げてどこか嬉しそうだ。
「お前は俺を連れ戻そうとしにきたのか?」
「あ、えっと…。すみません、魔王に戻るつもりなのかと思って…」
「ふふ。可愛いやつだ」
かっ…!?
心臓を狙った銃弾が飛んできて、見事命中した。
目の前にいるのは本当にルキ?一ヶ月前と別人みたい。こんなセリフをさらっと言うような性格だった?
恥ずかしさのあまり動揺していると、ルキは私の手を引いた。隣に座らされ、体が柔らかいソファに沈む。
「ミレーナが帰ってきたら店に戻るつもりだった。俺と会えないことがそんなに寂しかったのか?」
「さ、寂しいというか、ルキとは半年間一緒に居ましたし、挨拶もなしにいなくなられてびっくりして…」
「大丈夫だ。今さらお前と離れる気はない」
見つめ合う瞳。
彼の表情はどこまでも優しくて、目が逸らせなかった。
その時、視線だけ動かしたルキは低く唸る。
「お前たちはいつまでそこにいるつもりだ。少しは気を利かせないか」
「「はっ!も、申し訳ございません!」」



