「どうしてこんなことを…!」
思わずそう尋ねると、アラク大臣はこちらを睨みつけながら口を開いた。
「邪魔だったんです。あなたとこの店が。ルキ様は誰も代わりなんてできないほど魔王にふさわしいお方なのに、レストランのせいで魔界からいなくなってしまった。人間界の官僚を操ってダム建設の話が進めばルキ様は帰ってくると思っていたのに、計画が狂いましたよ。人間の小娘が入れ知恵をして、さらには冷酷非情だったルキ様の人格まで変えてしまうなんて」
全てはアラク大臣によって仕組まれていたんだ。
突然持ち上がった理不尽なダム建設の話も、私を人食いグールの森に置き去りにして消そうとしたことも、全て魔王だった頃のルキを取り戻すための策略だった。
「まさか、週刊誌の写真もあなたの仕業ですか?」
ヴァルトさんの問いに、大臣はククッと喉を鳴らす。
「えぇ。マク様の力を利用させていただきました。入手方法はもうお分かりでしょう?」
やっと謎が解けた。
誰が撮ったのかわからない魔物達の写真は、アラク大臣が過去の世界に飛んで得たものだったのだ。
週刊誌に匿名でタレコミをした彼は、あることないことを書いた記事でトドメを刺そうとしていたらしい。
だが、その企みも私の会見で潰されたと知り、ついにマクさんの力で無理やり店を燃やす最終手段に出たというわけだ。



