ラウガーさんと声をそろえた。
ゴブリンに連れ去られた時の記憶が蘇る。棺桶に閉じ込められる間際に見えた“糸”と、リム君の言葉が重なった。
「出てこい、アラク。いるんだろう」
怒りに満ちたルキの声が響く。
すると、息つく間に痩せ型でオールバックの男性が現れた。ルキの目の前に立つメガネの彼は、魔界城のアラク大臣だ。
状況が飲み込めずに動揺する私に、ルキは低く続ける。
「この男は蜘蛛の魔物でな。魔力を込めた糸で他人を操ることができる。…ゴブリンを使ってミレーナを殺そうとしたのも、マクの力で店を燃やそうとしたのも、全てこいつが黒幕だ」
ゴブリンの生息地からはるかに離れた場所に連れ去られたのは、人を食べるグールの住む森に私をエサとして放り込むためだったんだ。
そういえば決起集会の時、城に呼び出されて大臣と話した後、眠りについて気付いたら五時間経っていたとマクさんはぼやいていた。
おそらく、操られている間の記憶が飛んでいたのだろう。



