『まさか、こんなことに…!認めない、私は認めないぞ…!』


突然レストランに響く低い声。

従業員のものでも、役人のものでもない。

不穏な気配に胸騒ぎがした瞬間、背後から焦ったようなラウガーさんの声が聞こえた。


「マク!?どうしたの!」


振り返ると、膝をついたマクさんが目に映る。やがてゆらりと立ち上がった眼帯の彼は、私の知っている姿とは別人だった。

まるで何かに操られているかのように無言で手を突き出し、魔力の気配が溢れ出ると同時に片目が真っ赤に染まる。

まさか、ここで炎を…!?


「やめろ、マク!」


恐怖と混乱で体が強張り、ルキの叫び声が響いた次の瞬間。ぐわん!と大鎌を構えたのは、無表情のリム君だった。


え?


目を見開いた瞬間、迷いなく空を切る大鎌。

魔力を一瞬で消したマクさんは、意識を失ったようにその場に倒れ込む。


「ぎゃーっ!?マクー!!」

「り、り、リム君っ!何を!?」


真っ青な顔で叫ぶラウガーさんと共に、マクさんへと駆け寄った。

まさか、炎を出させないために?こんな強引なやり方で!?

しかし、リム君は涼しい顔をしている。


「狩ってないよ。変な糸が見えたから切っただけ」

「「糸?」」