覚悟していた暴言は飛んでこなかった。
カメラの向こうもネットの反応も、今は見れない。
だけど、やれることはやった。言い残したことも後悔もない。仲間達が遠くで見守っていてくれたから、涙を流さずにやり遂げられたのだ。
会見場を後にして控室に戻ると、そこにはルキがいた。思わず息が止まる。
「迎えに来た」
そのセリフを聞いて初めて泣いた。
緊張の糸が切れて、涙が止まらなかった。
ルキは優しく背中を撫でる。
「私、ちゃんとみんなを救えましたか…?」
「あぁ。よく頑張ったな」
そう言ったルキの声は、いつもよりずっと優しく甘かった。
**
会見を終えて日付が変わり、ついに大晦日。役人に言い渡された期限日となった。
魔物達は皆《レクエルド》に残り、店を訪れる役人を待つと、正午過ぎ、ようやく見覚えのある四人の男達が扉を叩く。
「ずいぶんと騒ぎを起こしてくれたようじゃないか。悪あがきをしても無駄だというのに」
第一声はそれだった。
後ろに控える魔物達から怒りの空気を察したが、つられることなく冷静に構える。
「今日が約束の期限だ。半年間で気が済んだだろう。今すぐに荷物をまとめて出て行ってもらおうか」
「いえ。そのつもりはありません。私たちは約束通り、宣言を果たしました」



