そして会見の終盤。

三人のバトンを受け継いだ私は、顔を上げて結びを口にした。


「最後に、《レクエルド》で働く人間として、私からお伝えさせていただきます。

ウチの従業員は確かにヒトではありません。ですが、それはいけないことなのでしょうか?お客さんを喜ばせたい、料理を通して笑顔になってほしい。そう願うのは許されないのでしょうか?非難されてしまうのは、ここが人間界だから?

それは、差別と変わりありません。

彼らは、相手を思いやる気持ちを持った優しい魔物です。レストランの宣伝を目にして一度でも店を訪れてくれた方なら、誰でも理解してくださると思います。

この記事は、でっち上げた情報でレストランを廃業にし、町をダムの底に沈めようとする圧力の元に書かれたものです。

私はこの半年間、魔物がいる町だからと国の地図から消し、立ち退きを迫る役人と戦ってきました。それも全て、大切なレストランを守るためです。

ここで、皆様に協力していただきたいことがあります。ネット上での署名です。立ち退きを撤回させるためには、皆様の声が必要です。

どうか、亡くなった元店主の思いを受け継ぎ、私たちが作り上げてきた《レクエルド》のために力を貸してください」