次にマイクを取ったルーリオさんは、心の整理をつけたように凛と話し出した。
「私は、写真に写っている少年についてお話しします。
はじめに私情を語らせていただきますが、私の娘は一ヶ月前に亡くなりました。
しかし、クリスマスの夜、亡くなったはずの娘から、届くはずのない手紙を受け取りました。それを渡してくれたのは死神の彼でした。
彼はクリスマスまで生きたいと言った娘の願いを聞き届け、このレストランに連れていってくれたそうです。
もちろん信じられませんでしたが、手紙の字は確かに娘のもので、同封されていた写真に写っている笑顔を見たときに気持ちが少しだけ軽くなったように思えました。
彼は娘の命を奪ったのではありません。
またどこかで幸せな家庭の元に生まれ変われるように、天国へと連れていってくれたのです。
今はまだ、娘のいない現実を受け止められずにいます。ですが、娘に最期の思い出をくれたこの店と彼を非難している声が聞こえて、この場に立つことを決めました。
どうか、嘘を並べた記事に惑わされず、真実を理解していただきたい」
深々と頭を下げた彼女。
誠実な姿勢に、誰もが胸を打たれた。



