「本日はお集まりいただきありがとうございます。私は、meetの取材記者のグレンダです。これから会見を始めさせていただきます。内容は事前に公開した通り、魔界レストラン《レクエルド》についての週刊誌への意見、及び内容に関しての釈明(しゃくめい)です」


机の下で、そっとグレンダさんが手を握ってくれた。

背中を押す仕草に、息を吸い込む。


「私は、週刊誌で書かれた店で働くミレーナです。こうして、公に会見をするのは初めてでうまく伝えられない部分もあるかと思いますが、精一杯、真実をお話ししたいと思います。よろしくお願いします」


話を始めると、フラッシュが止んだ。

マイクを持った私は、まっすぐカメラの向こうを見つめる。


「一番はじめに、伝えさせていただきたいことがあります。《レクエルド》の従業員は、私以外の全員が魔物です。あの写真に写っていた姿は紛れもなく彼らの一面で、人間を襲った過去があることは事実です」


ざわざわとざわめく会場。序盤からこんなはっきり宣言されるとは思わなかったのだろう。

だが、これが“私たち”の反撃の一歩だった。


「しかし、記事の内容は全くのデタラメです。魔物達は皆、理不尽に人を傷つけるような存在ではありません。

これからお話しすることは、全て事実です。どうか、“ヒトではない”という色眼鏡を取り去って、私達が語るそのままの言葉を聞いていただきたく思います」


その言葉を合図に、続々と三人の仲間が入ってくる。

レティさん、マオットさん、そしてルーリオさんだ。皆、自ら証言することを希望してくれた。