しかし、立ち退き撤回に向けて全てが順調に進んでいると思っていた矢先。レストランの黒電話が賑やかな空気を切り裂いた。
「はい、お電話ありがとうございます。魔界レストラン《レクエルド》です」
電話に出ると、相手はグレンダさんだった。
ひどく焦ったような彼女は早口で告げる。
『ミレーナさん。今日の週刊誌を見ましたか?』
「週刊誌?いえ、すみません。今日は身内の集まりの準備があって、テレビもろくに見てなくて」
『大変な騒ぎになっています。パソコンから今すぐに確認してください』
緊迫感のある声にドキリとした。
得体の知れない不安を抱えながら、受話器を首と肩で挟んでパソコンを開く。
椅子を持って側に駆け寄ってきてくれたケットがカタカタと打ち込むと、画面に現れたのは、週刊誌の一面を飾る信じられない見出しだった。
『魔界レストラン《レクエルド》、隠された魔物達の真実』
思わず目を疑う。
そこに綴られた文章の内容は、信じられないものだった。



