まずい。浮かれて口を滑らせた。
こんなの、告白しているのと同じじゃないか。
しかし、静かに焦っていたその時。私の爆弾発言に気付かないルキは、それを遥かに超えるセリフを重ねたのだ。
「特別?あぁ、この前ヴァルトが言っていたやつのことか。ずっと一緒にいたいと思える存在が特別なら、俺にとっての特別はお前だな」
思考が止まった。
この魔王は、たまにとんでもない発言をする。
いま、自分の言った言葉の意味に気づいているのか?
いや、これは無自覚だな。好きという感情をわかっているかも怪しい。
初恋泥棒は、隣で涼しい顔をしていた。
とっくにキャパオーバーした私は、なんて返したらいいのかもわからない。案の定、「その写真もニコッターにあげるのか?」なんて言い出した彼は、恋愛に鈍いらしい。
あの、見てるんですよね?あなたたちの魔王様、容赦なく心を揺さぶってきます。何が正解なんですか。この後はどうすればいいんですか…!
数百年歳上の大人たちに心の声で訴えかけるものの、バックヤードから助け舟が入ることはなかった。



