「持っていてくれるんですか?」
「うん?当たり前だろう。なぜそんなことを聞く」
「いえ、読めないものですし、レシピ本みたいにくしゃくしゃにして燃やすのかと思ってました」
「はっ、なんだそれは。たとえ大ハズレでも、お前から貰ったものを捨てたりしない」
軽く笑った彼のセリフに鼓動が速まった。
ばか。いちいち騒ぐんじゃない、私の胸。
彼にとっては取るに足らないことで、ただの気まぐれかもしれない。明日には、洗濯物と一緒に洗われてボロボロになっているかもしれない。
でも、まるで自分の気持ちが受け入れられたようで舞い上がってしまう。
その時、わずかに眉を下げた彼が呟いた。
「プレゼントか…。何も用意していないな。お前に返すものがない」
「お返しなんていらないですよ。いつもルキにはお世話になっているので、個人的に渡したかっただけですから」
「それなら、尚更用意するべきだ。俺もお前には世話になっている。欲しいものはないのか?」
“欲しいもの”
そう聞かれて思い浮かんだのは、ひとつだった。
こんなお願いをしてもいいのだろうか?頼んだところで、断られるかもしれない。
「遠慮するな。何でも言え」
言い出しづらい気持ちをお見通しのようだ。
じっとこちらを見つめて答えを待つ彼に折れ、緊張気味にプレゼントを口にした。
「その…、一緒に写真が撮りたいです」



