ルキ達が接客に戻った頃、私とリム君は庭に残り、エスターちゃんの話を聞いていた。
彼女はクリスマスまでの一ヶ月、都市に留まり、家族や友人達の様子を見て回っていたらしい。
それは、何事もなく魂を狩られていれば見なかった光景であり、さめざめと泣く大切な人たちの姿はとても悲しいものだったそうだ。
罪悪感で表情を暗くしたリム君だが、彼女は責めようとしなかった。
一枚の封筒が差し出される。
「伝えきれなかった家族への思いを書いたものなんです。自分では届けられそうにないから、おねえさんがポストに入れてくれませんか?」
そう言った彼女は、自分がこの世にいられるのは今が最期であることを察しているらしい。背負った大鎌へ視線をやったリム君を見て気付いたのだろう。少年の顔は複雑そうだった。
ゴーストの少女は、穏やかな口調で私のカメラを指差す。
「できれば、そのカメラで写真を撮って欲しいです。手紙に入れて、皆さんのおかげで素敵なクリスマスを迎えられたんだって家族に伝えたくて…」



