「さぁ、お待ちかねのディナータイムです。温かいビーフストロガノフとチキンの丸焼きはいかがですか?クリスマス限定のコースもご用意しております。メニューをご覧になって、少々お待ち下さい」
そう声をかけてレストランの扉を開くと、笑顔のお客さんは待ちきれないように続々と店内へと入っていった。
サプライズは大成功だ。
やがてソリを降りてきたルキとヴァルトさんも装飾品を取りながら任務完遂の達成感に浸っている。
「あっ!ミレーナ、見て!あのヤドリギの下!」
ケットが声を上げ、指差した方へ視線を向ける。
すると、イルミネーションとウィル・オー・ウィスプの光をキラキラした瞳で見つめている少女が見えた。その体は透けていて、彼女が噂のゴーストだとすぐに気付く。
「リム君」
小さく彼の名を呼ぶと、死神の少年はラッピング箱をひとつ手にとって歩き出した。
そして、彼女の前で足を止めると、緊張した面持ちでぎこちなく差し出す。
「エスター。…クッキー、たべる?」
目の前のラッピング箱に目を丸くした少女。
リム君と箱を交互に見つめた彼女は、やがてにこりとして受け取った。



