慌ててその場しのぎの言い訳をする私。

棺桶は、ハロウィンイベントで一日中働いてもらうヴァルトさんの負担を軽減するために運び込んだものだ。


「そういえば、住み込みで働いているとも聞いたが、まさか、どこの馬の骨かもわからない男と一緒に暮らしているんじゃないだろうな」

「変な心配はしないで。ふたり暮らしじゃなくてケットもいるし、私はルキの厚意に甘えさせてもらっているだけで…」


その瞬間、シグレが隣に立つ魔王へ視線を向けた。見定めるような眼差しに心臓が鈍く音を立てる。

まずい、墓穴を掘った。

そう気づいた頃にはすでに遅く、シグレはまるで哀れむようにこちらを見た。


「俺はヒトの恋愛をどうこう言うのはシュミじゃないが、こんなイケメンに夢を見るのはやめておけ。遊ばれているに決まってる」

「な、なんてことを…!やめてよ、ルキに失礼でしょう!そもそも、私達はそういう関係じゃないわ」


しかし、慌てて否定した瞬間。ルキが藍色の瞳を細めて低く唸る。


「遊び…?俺はそのような軽い感情で他人を側に置いたりはしない。勝手に決めつけるな」

「ルキ。大変ありがたいお言葉ですが、今その発言をするのは余計にこじれます…!」