「私たち特殊護衛団は常に1人で多数の敵を相手にしなくてはならない。

逆に、君たち護衛団は複数で1人の敵を確実に仕留めなければならない。

そのため、この訓練では特殊護衛団1人に対して護衛団30人を相手とし、双方全力の対人訓練を行う。」



「1対30...!?」


「それはさすがに無理があるんじゃ...!」



ルーカスさんの淡々とした説明にどよめく護衛団の団員達。



「へえ、いいじゃねえか。やり甲斐があらぁ!」


「ああ。手加減は無用ってことだね。」


「ケガ人が多くなりそう...。」



一方特殊護衛団のみんなは、全然余裕そうだ。


普通逆じゃない?


相変わらずだなこの人達。



「武器はここにあるものなら何を使ってもらっても構わない。

相手が戦闘不能、もしくは降参した時点でその訓練は終了だ。

くれぐれも相手にケガを負わさないよう注意してくれ。

特にリオ。肝に銘じておけ。」



「え?なんで私?」



突然名指しで注意され、私は思わず肩を跳ねさせる。



「リオちゃんはいつもやり過ぎるからだよ!もう、手当する僕の身にもなってください!」



いつもほわほわしているテンまで声を荒らげる始末だ。



「し、承知しました...。」



やり過ぎてなんかないと思うんだけど。


なんて思ったけれど言えるはずもなく、私は半ば強引に首を縦に振った。