良かった、間に合った!
安心したその瞬間、視界がぐにゃりと大きく歪む。
立っていられないほどのその衝撃に、私は思わず膝から崩れ落ちた。
「ッおい!!大丈夫か!!!」
...これは毒か。
それも、かなり強い毒。
慌てて駆け寄ってきた王子様に体を支えられながら、私は脇腹に刺さった弓を勢いよく引き抜く。
「うぐっ...!」
額に滲む脂汗。
溢れ出した血で、団服の白は赤く染まる。
でもこれで、これ以上体に毒が回ることはなくなった。
「だい...じょうぶ、です。王子様、汚れちゃうから離れて....。」
「バカか!そんなこと気にするな!!」
「ふ...ありがとうございます。でも本当に...大丈夫ですから。」
傷口を抑えて止血しようとしてくれている王子様をそっと制して、なんとか笑顔を見せる。
よし、いける。
まだ動ける。
私は大きく深呼吸をして、ゆっくりと立ち上がった。
「あんたどうなってんの!?なんであれを食らって生きてるわけ!?」
「はは.....毒にはちょっと強いんだよね、私。」
一歩一歩、鈍器で殴られるような激痛に耐えながら男に近づいていく。
男はもう完全に戦意を喪失したようで、尻もちをついて後ずさりしている。
「こ、来ないで!!!バケモノ!!」
バケモノ...か。
久しぶりに言われた。
フッと渇いた笑みをこぼして、私は男の目の前に立った。
感覚はもうほとんど無くなっていた。
「ねえ....ロイド様に復讐って、どういう意味?」
まずい。
視界がぼやける。
飛びそうになる意識の中、なんとか男にそう問えば、男は震えながらやけくそに叫んだ。
「あたしの愛に応えてくれないからよ!!こんなにも愛してるのに、ロイドはあたしを拒む!!だからロイドの愛するこの街を襲ったのよ!」
