専属護衛...!?


セルジオン王国の王子となると、その命を狙う輩は山のようにいるはず。


そう考えると、特殊護衛団の誰かが護衛をするのが当然だけど、なぜ私?



考え込む私の心を見透かしたように、ロイド様は続ける。



「息子の名はセシル。今年19になる。歳が近い者が傍にいた方が、お互い気を張らずに居られるんじゃないかと思ってね。それと....」


「それと...?」



言いかけて、いったん言葉を区切るロイド様。


どこか影のある表情を浮かべて、まっすぐに私の目を見つめた。



「セシルは、ある出来事がきっかけで心を閉ざしてしまっているんだ。」


「心を閉ざす...ですか。」


「ああ。」



ロイド様の隣では、レイラ様も悲しそうに目を伏せている。


ある出来事。


これを聞くのは野暮だな。


そう判断して、私は黙ったままロイド様の次の言葉を待った。



「セシルは、本当は誰よりも優しい子なんだ。....だから、リオ。私が信頼をおく君がセシルの専属護衛となって、あの子の荒んだ心を癒してやってほしい。」



力強いまっすぐな目は、今まで見てきたどの目とも違う父親のそれ。


主君にこれだけ言われているんだ。


喜んで承るに決まっているでしょう?



「もちろんです。この命を懸けて、ご子息をお護り致します。」



胸に輝くエンブレムに拳を当て、私は深く頭を下げる。



「ありがとう。よろしく頼んだよ。」



こうして、私はセルジオン王国の王子、セシル様の専属護衛となったのだった。