「おお、来たかリオ。随分と早かったな。」



ここは、玉座の間。


セルジオン王であるロイド様は、優しい声で私を出迎えてくれた。


その傍らには王妃のレイラ様もいらっしゃる。



「おはようございます。先ほどまで訓練をしていたため、このような汚れた格好での謁見をお許しください。」


「こらこら。そんな堅苦しいのはやめなさい。どれ、もっと近くにおいで。」


「はい。」



ロイド様の手招きに素直に応じ、私は玉座の前に立つ。


ロイド様は私の姿をじっと見つめて、大きな声で笑い始めた。



「ハッハッハ!汚れなどひとつも見当たらんぞ?さすがだな。君は私の誇りだよ。」


「もったいないお言葉です...。」


「こらこら。さっきも言っただろう?そんな堅苦しいのはやめなさい。私とレイラだけの時は、もっと楽に接してくれないか?」


「は、はい。」



包み込むようなその優しい雰囲気に、私は思わず頷いてしまう。


このお方はいつもこうだ。


優しくて、暖かい。



「あら?リオ、髪が少し乱れているわ。ちょっと待っていてね。」


「え?レイラ様!いい!いいですって!自分で直しますから!」


「ほーら動かない!」


「はい...。」



レイラ様はピシャリとそう言って、楽しそうに私の髪を整え始めた。


レイラ様の細い指が私の髪を撫でるのを感じながら、何だかこそばゆい気持ちになる。


私にもし父と母がいたら、こんな感じなのかな。


家族の温もりなんて知らないけれど、そんなことを考えてしまう。



ロイド様とレイラ様。


このお2人は私の恩人なのだ。



「...はい、できた!リオは女の子なんだから、いつも可愛くしていないとね。」


「ありがとうございます。」


「ふふ、どういたしまして。」