「準備はよろしいですね?」



緊張に満ちた護衛団団長の声に、辺りはシーンと静まり返る。



「それでは、はじめッ!!!」



「「「「うおおおおお!」」」」



その瞬間、30人の団員達は雄叫びを上げながらリオに向かって走り出した。


傍から見ればすごい光景だ、とふと思う。


真っ黒な団服の集団は、真っ白な少女に襲いかかろうと勢いよく武器を振りかざす。


リオはピクリとも動かず、攻撃が当たりそうになったその瞬間



口角を 微かに上げた。



そこからは、もう一瞬の出来事だった。



「ぐあっ!」


「うああっ!」



ひらりひらりと舞うように攻撃をかわし、的確に一撃で相手を沈めていくリオ。


相手を傷つけないように剣の峰を叩き込んでいる様子だけど、その威力は尋常ではない。


団員達は次々と地面に倒れていく。


もう、言葉が見つからない。


なんであの体勢からあんな動きができるんだ。


接近戦をしている最中、遠方からはリオだけを狙った攻撃もあるのに、それら全てを剣で相殺してしまう。


一切の攻撃が当たらない。


リオの周りだけ時間が止まってしまったみたいだ。



「くそっ...!」


「うわあああ!」



外野で見ている俺らは、声を発することも出来ないまま リオの人間離れした戦闘を眺める。


すごすぎる。


仲間である俺でも、少し恐怖をおぼえるほどだ。