無理もない。


俺だって、リオが戦う姿を初めて見た時はしばらく動けなくなるほど驚いた。


こんな人間が存在するのか、ってね。



「それでは、第4訓練を始めます。」



審判を務める護衛団団長の声で、30人の男たちは皆一斉にそれぞれの武器を構える。


緊張した様子はあるが、なかなか落ち着いたいい構えだ。


さすがに護衛団に入団できただけのことはある。


しかし、その落ち着きは一瞬の出来事だった。



リオがゆっくりとした動きで双剣を構えた瞬間、空気が変わったのだ。



圧倒的な強者が纏う空気。


離れた所にいる俺たちでさえ気圧されるようなそれに、思わず身震いがおきる。


護衛団の団員達は皆、瞳に恐怖の色を浮かべていた。



「相変わらず凄まじいな、あいつ。」


「そうだね。かっこいいなぁ...。」



凛と立つ純白の背中を見て、ガイアとテンはぽつりと呟く。


俺もそう思うよ。


さっきまでの心配は完全に杞憂に終わりそうだ。


よく考えれば、リオが負けて膝をつく光景なんて全く想像がつかない。


だってあの子は、特殊護衛団の中で最も強い騎士なんだから。