side.ロキ




リオという子は、とても不思議だ。


一見すると目が離せなくなるほどの美しい少女なのだが、それは彼女を知らない人の感想。


実際は、あの若さで特殊護衛団に所属しているかなり変わった女の子なのだから。


幼い頃に両親を亡くし、セルジオン王家に助けられたという話を聞いたことはあるけれど、詳しいことは分からない。


リオは、自分のことをあまり話そうとしないのだ。


長く美しい琥珀色の髪を結う横顔に、思わず見とれてしまう。



本当に綺麗だな...。



ふと周りを見ると、テンやガイア、ルーカスまでもがリオに釘付けになっていて、少し笑ってしまった。



「...?ロキ、何を笑っているんだ?」


「ふっ、なんでもないよ。ただ、リオは大丈夫かなーって心配してるだけ。」


「確かに、俺たちの時とは違って相手の武器の種類が豊富だからな。やりづらいだろう。」



ルーカスの言葉に同意して、訓練場の真ん中にいる第4訓練の集団を見つめる。


大剣、太刀、弓矢、槍。


これは、遠距離攻撃と近距離攻撃を同時に相手にしないといけないということだ。


難易度は一気に跳ね上がる。


ルーカスでもこれを相手に戦うのは難しいだろう。


一方で、リオの武器は双剣。


この双剣、俺の知る中で扱えるのはリオただ1人だ。


なんの防御も持たず、左右を完璧にコントロールしながら攻撃するのは常人には不可能。



「おいおい、リオ様の武器は双剣なのか...!?」


「双剣を使う人なんか初めて見たぞ!!」



第4訓練に参加している護衛団の新人達も驚いている様子だ。