腕まくりしたアナタ




(私も帰ろうっと。)







下駄箱に向かうために、教室を出ようとしたら、木内先生に話しかけられた。






「轟、明日の部活のことで相談があるんだけど、時間ある?」






「はい、大丈夫です。でも、部長と試合のことミーティングするんじゃなかったでしたっけ?」






「3年は進路希望調査やってるから、少し遅いから大丈夫。それより、細井は?」






「まどかは、今日は塾の日なのでさっき帰りましたよ。」






「そっか、あいつも頑張るなぁ〜。お前も部活ない日は図書室で勉強してるもんな。」






(え?なんで知ってるの?)






確かに部活が休みの日は、図書室で勉強してるけど、誰かに言ったりしてないのに、なんで先生が知ってるのだろうと疑問に思った。






「なんで知ってるの?って顔してるな(笑)」と、先生は笑って私に言った。






「俺は頑張っている生徒のことは何でも知ってるよ。」






そう言って、先生は私の頭をポンっとした。






「…ストーカーじゃないですか。」






小声で言った私の言葉は先生にはしっかり聞こえていて、「素直に喜びなさい。」と軽くデコピンされた。