張り付けられたような笑顔と、今にも泣きだしそうな笑顔を交互に出しながら
けれども俺はそれを完璧に無視し、座席のシートを倒し美麗からそっぽを向き寝始めた。
ズキズキ。美麗はきっと肩を落とし落ち込んでいるに違いない。今にも泣きだしそうなその顔で…。美麗を泣かせたくない。心では分かっちゃいるのに、いつまでも素直になれぬままだった。
旭川空港までの1時間ちょっとの時間。気が気ではない状態で、楽しいクリスマスと言うよりかはまるでお通夜状態だった。
雪深い北海道に着く頃には、もう美麗は下を向いたまんまで何も話はしなくなってしまっていた。
俺の少し後ろを離れてとぼとぼ歩き、そんな美麗の重そうなキャリーバックさえ持ってあげない嫌な男になっていた。
ちらちらと雪が降っていて、広大な大地は見事に雪化粧。
なんて圧巻なんだろう。それをつい、美麗に伝えたくなる。振り返った彼女は雪景色なんか見る事もなく、下を向いてキャリーバックを両手で抱える。
その手が震えていた。寒さのせいではないだろう。途端に体もぶるぶると震え始めて、真っ白な銀世界の中で、雪にぼたりぼたりと彼女の涙の雫が落ちる。
泣かせたかった訳ではない。
そんな顔をさせたかった訳でも。
何度も話を掛け、俺の機嫌を取るのに必死だった美麗を無視し続けた。
旅行に来るまでのこの3日間もずっと、華奢な彼女の頼りない肩が、この数日の間で更に痩せているのにやっと気づいた。



