「…な、知ってる? 煙草ってさ、一番すげー時で900度とかになんだって
 そりゃ皮膚に付けたら治んねーって話で。不当な意味合いでならまだしも、仕置き(・・・)にならそのやり方も一理あると思わねえ?」

 例えば、


「年上にろくすっぽ敬語使えねーガキ相手の指導目的で」


 言葉を言い終える寸前でジッと小さな音が鳴る。煙草を正面から手の平で飲み込んだ藤堂は、無表情のまま。喫驚する栄介を静かに見据えていた。

「ほー。無茶すんね君。あちいだろ」
「…」
「…気味悪いなおまえ、人形みたいな目しやがって」

 興醒めたわ。

 相手の胸を押し退け立ち去る相手に、一歩退いた藤堂は暫くその場に立ち(すく)む。やがて相手が見えなくなった頃、はっとして左手を抱えて蹲った。


「いっ…てぇな畜生…」