変わろうとしてる天の河に魅せられて。この体で、この手で、少しでも先輩にかけてしまっている迷惑を、負担を。減らせられたらと思っただけだ。

 
 私の力で、私を変えるために。

 何をどう言っていいのかわからなくて、歯痒さから開いた唇が震える。それを黙って見つめ返していた先輩が、やがて吹っ切れたように視線を外した。


「…俺はオズちゃんのこと信じてるけど」

「、」

「オズちゃんは俺に対してそうじゃないんじゃないかって思える」


 吐き出された本音に、視えてくる色はない。

 それきり目を合わせてくれないこのひとに、何をどう言ったら伝えられるんだろう。先輩は色んな形で私に接してくれたのに、私は。


「………私は」


 そこで5限目の予鈴が鳴って、先輩が「あのふたりおっせーなー昼休み終わっちゃったじゃん」と切り替えて背を向ける。

 いつもなら振り向いてはよ行くぞ、って私を急かすその声が今日に限ってなかったから、先輩がいなくなった図書室で、私はしばらく一人で立ち尽くしていた。