お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。

どうやら彼は、あの日私と会ったことをハッキリと覚えているみたいだった。


てっきり忘れてると思ってたのに。どうしよう。


「そ、その節は大変お世話になりました! 助かりましたっ!」


「いえいえ。どうだった? いい奴いた?」


「いえっ、特に……」


「そっかー」


「でもあれは、数合わせで仕方なく参加しただけで……っ」


言い訳みたいにそう告げたら、七瀬さんは疑うような目でじっと見つめてきた。


「ふーん、そうなんだ。でもほんとに興味ないの?」


「え?」


「彼氏くらいほしいだろ。ジョシコーセーなんだし」


「う……。えっと、まぁ……」


それは否定できないけど。


合コンに行ってたことがもしお兄ちゃんにバレたら、まずいよね。


やっぱり、口止めしておかないと。