ウソ。ちょ、ちょっと待って。可愛いって、私が!?


というか、頭に手が……っ。


「まぁとにかく、無事でよかったね」


そのままポンポンと優しく頭を撫でると、ニコッと笑う彼。


うぅ、どうしよう。近くで見るとますますカッコいい……。


一気に顔が熱くなって、ドクドクとさらに心拍数が上がっていくのがわかる。


「な、なんか、ありがとうございますっ。ほんとに助かりました!」


私が再びお礼を言うと、彼は「いいえ」と言ってその場に立ち上がる。


「それじゃ、自分は戻りますので。あとはごゆっくり」


そして、いつのまにか敬語に戻ったかと思うと、そのまま背を向けて部屋から出ていった。


その姿を見つめながら、ボーっとその場にたたずむ私。


ねぇ、もしかしてさっきのは、わざと水をこぼして助けてくれたのかな? 私が困ってたから。


もしそうだったら、まるでヒーローみたいだよ。


なんて素敵な店員さんなんだろう。


カッコよくて、親切で、スマートで、大人で……。


合コン相手の同級生の男の子たちよりも、よっぽど魅力的に見えてしまった。


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