お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。

見上げると、彼はそこでなぜかクスッと笑う。


その笑顔に思わずドキンと心臓が跳ねた。


わあぁ、この人、笑ったらこんな顔するんだ……。


っていうか今、濡れないようにこぼしたって言ってたような気がしたんだけど、どういう意味?


すると彼は急にその場にしゃがみこんで、私と目を合わせると。


「ちなみに一つだけ忠告しとくけど、嫌な時はハッキリと断ったほうがいいよ。しつこい奴はマジでしつこいから」


いつのまにか敬語がなくなった彼に、またドキッとしてしまう。


なんだろう、急にプライベートな顔に切り替わったみたいな。


「あ、はい……。気を付けます」


「とりあえず、震えてる女の子に無理矢理壁ドンして言い寄るような奴は、論外だよね。あーいうのに連絡先教えたら、危険」


「は、はい」


ウソ。震えてるって、そんなの気づいてたんだ。


そしたら彼はそこで何を思ったのか、私の頭にポンと片手を乗せると。


「合コンするのは構わないけど、ちゃんと相手は選んだほうがいいよ。せっかく可愛いんだし」


「……へっ?」