お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。

そのまま彼に連れられ、店の事務所へと通される。


ガチャッとドアを開けるとそこは、ほんの4畳くらいの広さの部屋で。


言われるがまま私はそこにあった椅子に座った。


彼はどこからか綺麗なタオルを取り出すと、それを私に手渡してくれて。


「どうぞお使いください」


「あ、ありがとうございますっ。すみません、わざわざタオルなんて……」


「いえいえ、こちらの不注意ですので」


そのまま水しぶきが飛んだ部分をササッと拭いたのはいいけれど、実際はほとんど濡れていなかった。


「あの、ありがとうございました! もう大丈夫です。ほとんど濡れてなかったんで」


そう言ってタオルを彼に返す。


そしたら彼はボソッと。


「まぁ、濡れないようにこぼしたからね」


……えっ?