お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。

みんなの話に適当に相槌を打ちながら、ただ時間が過ぎていく。


だけど途中、だんだんと疲れてきてしまった私は、一人席を外しトイレへと向かった。


「……はぁ」


思わずトイレの鏡の前でため息をつく。


私ったら、合コンに行ったら何かが変わるかもみたいに思ってたけど、これじゃ結局何も変わらないよね。


口下手で人見知りな私は、ノンちゃんみたいに他の男の子とフレンドリーに会話するなんてできないし、みんなのノリに全然ついていけないし。


合コンというものをどこか、勘違いしていたのかもしれない。


やっぱり私にはこういうの、向いてないのかな……。


ついでに髪型だけささっと整えて、トイレから出る。


そのまま通路を少し進むと、スマホを手に持った男の子が一人、壁にもたれながら立っているのが見えた。


あれ? この人は確か、大橋くんとかいう人……。


「あ、桜庭さん」