Your Princess

碧い目は私だけを捕らえている。
口元がにやけている自分が嫌になる。
これは、嘘に決まっている。
何かの罠かもしれない。

「どうしてもおまえと一緒にいたかった。だから、結婚してあの屋敷に住んだ。俺の我儘で色々と問題は起きたけど。それでも、一緒にいたかった」
「……」
どう答えていいのかわからなかった。
黙り込んでいると。
蘭はしゃべり続ける。
「結局、俺が忙しすぎておまえと一緒に過ごす時間はあんまりなかったけどな」
目の前で喋っているのは本当に蘭だろうか？
そう思えてくる。
私にとっての蘭は嫌な奴なはずなのに。
崩れていく…蘭の存在。

「おまえは、俺のこと嫌いなんだろ？」
さびしそうに蘭が言った。
急に言われたので、「あ…」と声が漏れる。
どう説明すればいいのだろう。

お互い黙った。
喋らなければと頭をフル回転させる。
「あの…、本当に私のことす…好きって？」
好きという単語を。
自分の口で言うのも恥ずかしく感じる。
「…俺はおまえに嘘をついたことはない」
真剣な表情だった。
私は心の中で「あー」と叫んだ。

「ごめんなさい」