***
ライト先生が来ないと、何をしていいのかわからない。
読書をしたり、自習をしたり、楽器の練習をしたり、ダンスのステップを一人で確認したり…。
一日の大半をライト先生と過ごしてたんだなぁ…と改めて思った。
実家にいた頃は、ライト先生が来なくなると。
部屋の掃除や洗濯をしていたっけ。
そういえば、この屋敷での謎は山ほどある中で。
サクラさんがいなくなって一層、謎に包まれていることがある。
それは、誰がこの屋敷の家事をしているかということだ。
料理はシュロさんが担当だとして。
掃除や洗濯は一体誰がしているのか。
綺麗好きな蘭の存在が大きいのか。
この屋敷に埃は見当たらず、いつだって清潔だ。
…ただ、誰が掃除しているのか未だ不明である。
「おいっ」
食堂で朝食を食べていると。
蘭の声がしたので、扉のほうに目をやる。
蘭の目の下にはクマが出来ていて。目が充血している。
ギラッギラの目でこっちを見るので。
いや~な予感を感じる。
「おいっ。出かけるぞ」
パンをかじっていたところに。
蘭が大声で言った。
「さっさと支度しろ」
こっちが食事中だというのに無視して蘭は言った。
(まだ食べてるんだけどなぁ…)
朝食はそこそこにして。
蘭に言われるがまま、支度しようとすると。
「オレの服貸すから、それを着ろ」
と言って。蘭の服を着ることに。
前も思ったけど。
見た目があんなに華奢なのに。
どうして蘭の服を着るとぶかぶかになるんだろう…。
背丈がそこまで変わらないながらも。
裾を折って、服に着替える。
ほのかに蘭の匂いがしたので、「うわぁ…」と思いながらも。
身支度をして、部屋を出る。
階段を降りると既に、蘭がリュックを背負って待っていた。
「湖に行くぞ」
それだけ言うと蘭はすたすたと勝手に歩き出す。
どうしてこう、私のペースには合わせてくれないのだろう。
蘭の後ろにくっついて。
見覚えのある道を通り、立ち入り禁止のゲートを越えて。
森の中を進んでいくうちに息切れし。
「蘭、待ってー」と情けない声で叫んでいる状況。
蘭は面倒臭そうな顔をしたけど。
私が歩き出すまで、黙って待っていてくれた。
進んでは、立ち止まり。進んでは立ち止まって「蘭、待って」という行動を繰り返すうちに。
ようやく目的地である湖の前に到着した。
前回と同じ光景が目の前に広がっている。
慣れた手つきで芝生の上にシートをひいて。
四隅に石ころを乗せ。
蘭は座った。
リュックから飲み物や食べ物を取り出して。蘭は食べ始めた。
「おまえに、ちゃんと話しておくことがある」
ライト先生が来ないと、何をしていいのかわからない。
読書をしたり、自習をしたり、楽器の練習をしたり、ダンスのステップを一人で確認したり…。
一日の大半をライト先生と過ごしてたんだなぁ…と改めて思った。
実家にいた頃は、ライト先生が来なくなると。
部屋の掃除や洗濯をしていたっけ。
そういえば、この屋敷での謎は山ほどある中で。
サクラさんがいなくなって一層、謎に包まれていることがある。
それは、誰がこの屋敷の家事をしているかということだ。
料理はシュロさんが担当だとして。
掃除や洗濯は一体誰がしているのか。
綺麗好きな蘭の存在が大きいのか。
この屋敷に埃は見当たらず、いつだって清潔だ。
…ただ、誰が掃除しているのか未だ不明である。
「おいっ」
食堂で朝食を食べていると。
蘭の声がしたので、扉のほうに目をやる。
蘭の目の下にはクマが出来ていて。目が充血している。
ギラッギラの目でこっちを見るので。
いや~な予感を感じる。
「おいっ。出かけるぞ」
パンをかじっていたところに。
蘭が大声で言った。
「さっさと支度しろ」
こっちが食事中だというのに無視して蘭は言った。
(まだ食べてるんだけどなぁ…)
朝食はそこそこにして。
蘭に言われるがまま、支度しようとすると。
「オレの服貸すから、それを着ろ」
と言って。蘭の服を着ることに。
前も思ったけど。
見た目があんなに華奢なのに。
どうして蘭の服を着るとぶかぶかになるんだろう…。
背丈がそこまで変わらないながらも。
裾を折って、服に着替える。
ほのかに蘭の匂いがしたので、「うわぁ…」と思いながらも。
身支度をして、部屋を出る。
階段を降りると既に、蘭がリュックを背負って待っていた。
「湖に行くぞ」
それだけ言うと蘭はすたすたと勝手に歩き出す。
どうしてこう、私のペースには合わせてくれないのだろう。
蘭の後ろにくっついて。
見覚えのある道を通り、立ち入り禁止のゲートを越えて。
森の中を進んでいくうちに息切れし。
「蘭、待ってー」と情けない声で叫んでいる状況。
蘭は面倒臭そうな顔をしたけど。
私が歩き出すまで、黙って待っていてくれた。
進んでは、立ち止まり。進んでは立ち止まって「蘭、待って」という行動を繰り返すうちに。
ようやく目的地である湖の前に到着した。
前回と同じ光景が目の前に広がっている。
慣れた手つきで芝生の上にシートをひいて。
四隅に石ころを乗せ。
蘭は座った。
リュックから飲み物や食べ物を取り出して。蘭は食べ始めた。
「おまえに、ちゃんと話しておくことがある」



