階段を下りると。
広間があって、サクラさんが立ち止まった。
「左側が応接間。お客さんが来たときに使うところね。んで、右側行くね」
サクラさんが指をさして、再び歩き出す。
サラサラとした髪の毛がなびく。
メイド服があまりにも似合っていて。可愛い人だなぁって改めて思ってしまう。
真っ赤な絨毯の上を進んでいくと。
サクラさんが立ち止まって扉を開けた。
「ここが、食堂。基本的にはここでしか飲食できないから」
扉を開けた瞬間。
美味しそうな匂いにお腹が鳴った。
パンの匂いだろうか。シチューかな?
色んな食べ物の匂いで溢れている。
食堂の真ん中には、でんっ! と長方形のテーブルが置かれて。
無数の椅子が置いてある。
そのテーブルの奥はキッチンなのか。
何かを炒める音がしていて。
やけに食堂は薄暗い感じがする。
サクラさんはずんずんと進んでいくと。
「シュロ! ちょっと、こっち来て」
「しゅろ?」
キッチンに向かってサクラさんが叫ぶと。「おー、今行く」と男性の声がした。
暫くすると、コックさん姿の男性が目の前に立った。
年は少し上だろうか。
蘭よりも大きな瞳にビックリする。
特徴的な大きな瞳とスッキリとした鼻。
「何だよ」と言って、シュロさんはサクラさんに言った後。
私を見て、「あ・・・」と声を漏らした。
シュロさんと目が合った瞬間、私は思わず口元をおさえた。
フェイスベールで痣は隠れてるってわかっているけど。
シュロさんの表情の変化に少なからず傷ついた。
「シュロ、今日から蘭のお嫁さんがここに住むことになったから」
「蘭のお嫁さん!? あいつ、結婚したの?」
驚いたシュロさんはもう一度、私を見て。
口をモゴモゴさせる。
「あの・・・、その・・・、そのお顔は」
顔…というワードを言うか否か。
サクラさんはもの凄いスピードでシュロさんのお腹にパンチを食らわした。
「いってぇ」
その場にうずくまるシュロさん。
整った顔が台無しだ。
「カレン。こいつは、シュロ。この屋敷の料理人。んで、シュロ。カレンのことはよく覚えといてね」
「…いってぇ」
両手でお腹を抑え込むシュロさんは、本当に痛そうだ。
「シュロ。女性に顔のこととか年齢のことを聴くのは禁句よ」
「…うぅ」
うめき声をあげるシュロさん。
「あ、あの。大丈夫ですか」
「放っておいて大丈夫よ。さ、行くわよ。カレン」
ふんっ! と鼻をならして。サクラさんは歩き出す。
「あの、サクラさん」
「サクラでいいわよ。一応、私。貴女の侍女ですから」
怒った顔で言うサクラさんに思わず「はいっ!」と頷く。
はい…と頷いたとはいえ、サクラさんを呼び捨てにするのは何だか難しく感じる。
スタスタと歩くサクラさん…を見て「あの」と言って立ち止まる。
「私の顔のことなんですけど」
ここで暮らす以上、ちゃんと説明はしておかなければならない。
「ああ。痣のことでしょ? 蘭から聴いてるわ。大丈夫よ。そんな怯えた顔しないで」
サクラさんはぽんっと私の肩に手をのせた。
「私の身体にも似たようなことが起きているから、気にすることないわ」
「え?」
似たようなこと?
思わずサクラさんの頭のてっぺんから足元までジロジロと見てしまう。
似たようなことって身体に痣があるってこと?
服で隠れているのだろうか。
サクラさんは再び足を進めて扉を開けて、外に出た。
私は急いで、サクラさんの後ろへと急ぐ。
広間があって、サクラさんが立ち止まった。
「左側が応接間。お客さんが来たときに使うところね。んで、右側行くね」
サクラさんが指をさして、再び歩き出す。
サラサラとした髪の毛がなびく。
メイド服があまりにも似合っていて。可愛い人だなぁって改めて思ってしまう。
真っ赤な絨毯の上を進んでいくと。
サクラさんが立ち止まって扉を開けた。
「ここが、食堂。基本的にはここでしか飲食できないから」
扉を開けた瞬間。
美味しそうな匂いにお腹が鳴った。
パンの匂いだろうか。シチューかな?
色んな食べ物の匂いで溢れている。
食堂の真ん中には、でんっ! と長方形のテーブルが置かれて。
無数の椅子が置いてある。
そのテーブルの奥はキッチンなのか。
何かを炒める音がしていて。
やけに食堂は薄暗い感じがする。
サクラさんはずんずんと進んでいくと。
「シュロ! ちょっと、こっち来て」
「しゅろ?」
キッチンに向かってサクラさんが叫ぶと。「おー、今行く」と男性の声がした。
暫くすると、コックさん姿の男性が目の前に立った。
年は少し上だろうか。
蘭よりも大きな瞳にビックリする。
特徴的な大きな瞳とスッキリとした鼻。
「何だよ」と言って、シュロさんはサクラさんに言った後。
私を見て、「あ・・・」と声を漏らした。
シュロさんと目が合った瞬間、私は思わず口元をおさえた。
フェイスベールで痣は隠れてるってわかっているけど。
シュロさんの表情の変化に少なからず傷ついた。
「シュロ、今日から蘭のお嫁さんがここに住むことになったから」
「蘭のお嫁さん!? あいつ、結婚したの?」
驚いたシュロさんはもう一度、私を見て。
口をモゴモゴさせる。
「あの・・・、その・・・、そのお顔は」
顔…というワードを言うか否か。
サクラさんはもの凄いスピードでシュロさんのお腹にパンチを食らわした。
「いってぇ」
その場にうずくまるシュロさん。
整った顔が台無しだ。
「カレン。こいつは、シュロ。この屋敷の料理人。んで、シュロ。カレンのことはよく覚えといてね」
「…いってぇ」
両手でお腹を抑え込むシュロさんは、本当に痛そうだ。
「シュロ。女性に顔のこととか年齢のことを聴くのは禁句よ」
「…うぅ」
うめき声をあげるシュロさん。
「あ、あの。大丈夫ですか」
「放っておいて大丈夫よ。さ、行くわよ。カレン」
ふんっ! と鼻をならして。サクラさんは歩き出す。
「あの、サクラさん」
「サクラでいいわよ。一応、私。貴女の侍女ですから」
怒った顔で言うサクラさんに思わず「はいっ!」と頷く。
はい…と頷いたとはいえ、サクラさんを呼び捨てにするのは何だか難しく感じる。
スタスタと歩くサクラさん…を見て「あの」と言って立ち止まる。
「私の顔のことなんですけど」
ここで暮らす以上、ちゃんと説明はしておかなければならない。
「ああ。痣のことでしょ? 蘭から聴いてるわ。大丈夫よ。そんな怯えた顔しないで」
サクラさんはぽんっと私の肩に手をのせた。
「私の身体にも似たようなことが起きているから、気にすることないわ」
「え?」
似たようなこと?
思わずサクラさんの頭のてっぺんから足元までジロジロと見てしまう。
似たようなことって身体に痣があるってこと?
服で隠れているのだろうか。
サクラさんは再び足を進めて扉を開けて、外に出た。
私は急いで、サクラさんの後ろへと急ぐ。



