Your Princess

サクラさんは落ち着いた声で答えた。
やっぱり声の主はシュロさんだ。
「今日は買い出しの必要はないから、行ってないよ。というか、その箱何?」
全くもって、前回と同じピンチ!
どうするのだろうと思っていると・・・
「あら、シュロ。その箱に触るのだけはやめたほうがいいわよ」
「なんでだよ」
前回と同じ展開。
「だって、この箱は蘭に頼まれたもんだもの」
(クリスさんの時と同じ展開だー)
言っていることも全く同じ。
これで、シュロさんから背けることが出来るのだろうと思ったけど。
「蘭が?」
とシュロさんが言った。
「珍しいな。蘭がおまえに頼むなんて」
シュロさんの冷静なツッコミに。
私は、確かにと頷いてしまった。
蘭が頼み事をするとしたら、基本的にクリスさんなのだ。
こればっかりはピンチだ…と思っていると。
アハハとサクラさんは笑い出した。
「さすがに、蘭はクリスに頼めなかったんじゃないのかしら?」
「何を?」
「だって、蘭ったら。カレンの下着を用意しろって言うのよ。それは流石に私にしか頼めないでしょ」
「し…ししししたぎ!?」
慌てるシュロさんの声。
私は思わず「やーめーてー」と心の中で叫んだ。
「蘭ったら、カレンに触れられない分、目で楽しもうとしてるんじゃないのかしら」
「おおおおお…」
シュロさんの声は既に言葉になっていない。
私は恥ずかしさのあまり、気絶しそうになる。
「そういうわけで、このことは誰にも言わないでよ。蘭のことちゃんと考えてね」
「おう、オレ。記憶力悪い男で良かった!」
台車がカラカラ言いながら動き出す。

「シュロは馬鹿だから、テキトーに言えば何とかなるのよ」
独り言のように言い放ったサクラさんの言葉に。
シュロさんは皆から、いじられるキャラクターなんだなと思った。