Your Princess

暫くすると。蘭の声もサクラさんの声もしなくなった。
蘭は外出したのだろう。
大事な日…というのが何か気になるけど。
仕事関係だろうなと思った。

もう少しだけ時間を潰した後。
そーと、扉を開けると。誰の姿もなっかった。
完全にこの前の状況と同じ心境のまま。
誰にも会わないように祈りながら。
食堂の裏へ向かうと。
サクラさんが既に待っていた。
「カレン、悪いけど。この木箱に入ってくれる?」
とサクラさんに指さされたのは。
以前、クリスさんに言われて入った木箱と全く同じものだった。
「え…」
さすがに前回と同じ方法で抜け出したら、バレるのは当たり前なのでは…

木箱に絶句していると。
「いいから、早く」
とサクラさんに怒られて。
言われるがまま、木箱に入る。
前回よりも少しばかり大きいので、簡単に身体を入れることが出来た。
「いい、私が声をかけるまで出てこないで」
そう言うと。
私の身体は動き出す。

ガラガラと音をたてて。
木箱を乗せた台車に乗って。私とサクラさんは出発する。
「あれ、サクラ。何してんの?」
ピタリと台車は止まる。
この声の主はこの前も話しかけられたよね・・・
思わず、不安になる。

「あら、シュロ? 買い出しはどうしたの」