「だから。さっき、蘭はカレンさんのことを気持ち悪いって言ったのではなく、具合が悪いっていう意味で言ったと思いますよ」
「…どうして、蘭は」
話そうと思っても、うまく言葉が出てこない。
ゼーゼーという呼吸だけが口からこぼれてくる。
シュロさんは手を止めずに私の背中をさすってくれる。
「さっきみたいに、ちょっとでも女の人に触れると、自力で立てないくらい体調を崩して。時には蕁麻疹が出て、酷いときには失神するんですよ」
「…ど……」
どうしてと言いたかった。
でも、声が出ない。
「だから。蘭のこと嫌いにならないでほしいんです。あいつは色々と誤解されがちだけど、良い奴なんです」
まっすぐに澄んだ目だった。
シュロさんの言うことは嘘じゃない。
ただ、私は混乱して。
しばらく、その場で動けずにいた。