Your Princess

昼食は、いつものように食堂に行く。
ライト先生は応接間を借りて一人、休憩をしている。

サクラさんの姿がなかったので。
一人、食堂へ行くと。
私の顔を見たシュロさんが「うぉ」と軽く悲鳴を上げた。

まるで、モンスターを見るような驚いた顔。
そして、好奇心に満ちた顔。
次に、憐れむ表情。
シュロさんは正直なんだなと思った。

「蘭様の妻で、カレンって言います」
朝食は顔を出さなかったので。
シュロさんにとって、私は初対面状態だ。
「アイツ、結婚したんすか?」
とシュロさんが驚くと同時に。
はっとして、壁に貼ってある書き込みを見て。
「あー」と言って納得した。

「すんません、今。昼食作りますんで」
そう言って。
シュロさんは、厨房へと消えた。

シュロさんの態度には傷つくけど。
それどころじゃない。
頭の中ではクリスさんでいっぱいだった。

無意識に手で痣に触れていた。
フェイスベールを取って誰かと喋るのって、いつ以来だろう。
どこか顔がスース―する。

もう。
色んなことが起こりすぎて。
どうすればいいのか、わからない。

蘭には頼んだけど。
あの男のことだから、どうするのかすらわからない。
(世間体ってさ・・・)
椅子に座って。
蘭の言った言葉を思い出す。

世間体を気にするなら、私となんか結婚しなきゃいいのに。
こんな顔に痣のある女と結婚したって。
蘭が笑いものになるだけだ。

既に笑い者じゃないの?
ねえ、蘭・・・