「ねえ、カレン。じゃあさ、俺のこと気持ち悪いって思う?」
「え!? 気持ち悪くなんかないよ。何で?」
渚くんが変な質問をするので私は声を張り上げてしまう。
「あ…、外見が成長しないって…コト?」
同じ15歳だというのに。
渚くんはいつでも幼い。
12歳くらいの男の子だ。
「そうじゃなくて、俺の見た目。カレンだって最初、ビビってただろ。瞳の色」
「あ…、でも。渚くんは蘭とちょっと似てるじゃない?」
「蘭と似てるって言われることあるけど、アイツの瞳は青だろ。俺の目、気持ち悪い?」
じっと、渚くんが私を見る。
瞳の色が黒というのは。
渚くんが初めてだ。
「気持ち悪くなんか…ないよ。そりゃ、最初は驚いたけど」
渚くんから目をそらす。
ずっと見つめあっていたら緊張してしまう。
「俺もね、カレンを初めて見た時はビックリしたけど。でも、綺麗な子だなって思った」
「キレイ?」
自分とは無縁の言葉に聴き間違いかと思ってしまう。
渚くんは。はっきりと私の痣を見たはずだ。
「カレンは綺麗だよ。自分のことをバケモノだとか気持ち悪いだなんて思っちゃ駄目!」
そう言うと、渚くんは。
ぎゅっと私の左手をつかんだ。
「あのね、カレン。世の中には見た目が綺麗でも心が尖っていて、冷血で残酷な奴だっているんだから。それほど恐ろしいものはないよ」
「……」
誰のことを言っているのだろう?
渚くんはプルプルと震えだした。
手からは渚くんの温もりが伝わってくる。
「あの、渚くん…」
「あ、カレン。あとね、訊きたかったんだ。蘭とどこで知り合ったの?」
私の言葉をさえぎって、渚くんが言う。