一安心している忍に詩音と千里が話しかける。そして、二人もルーレットを回し始めた。結果はどちらも数字を当てた。

「神様も意地悪やね。そろそろ忍ちゃんが俺と詩音くんのどっちと結婚するんか教えてほしいのに」

「キングとクイーンは運が並外れていいってことか……」

大金を手にしたというのに、詩音と千里の顔はカジノで負けた人間の見せる悔しげなものだ。忍はニコリと微笑む。

「じゃあ、また次の夜に会いましょう。今度はそうね……クラップスがいいわ」

「上等だ。絶対お前は俺の嫁にするからな!」

「いいや、俺の嫁です〜!!」

詩音と千里が言い争う中、忍はくるりと二人に背を向けて家へと向かった。



クラップス、ブラックジャック、ツーアップ、レッドドッグーーー。

忍、詩音、千里は今夜もカジノで勝負をする。しかし、決着がつくことはない。いつも引き分けか全員が勝つかだ。

「今日はポーカーで勝負をしましょう」