今夜三人が勝負するのは、マネーホイールというゲームだ。回されたルーレットがどの数に当てる簡単なゲーム。しかし、全て運任せだ。

「レディーファーストってことでお先にどうぞ」

「どうも」

千里に言われ、忍は賭けたい金額のチップをクリックする。とりあえず三十万賭けることにした。

「そうね……。三十六」

忍が数字を口にすると、ディーラーがルーレットを回し始める。緊張しながら忍は回り続けるルーレットを見つめていた。

マナーホイッスルはハウスエッジが高いため、勝つためにプレーするのではなくショー感覚で楽しんだ方がいい。しかし、結婚が賭けられている忍にとっては楽しむ余裕などないのだ。

「おおっ!三十六!!」

ディーラーの言葉に、ニヤニヤしながら後ろで見ていた詩音と千里はつまらなさそうな顔をする。忍がお金を受け取ると、「さすがクイーン……」という眼差しがあちこちから飛んできた。

「クソッ!これなら勝てると思ったのに……」

「まだ安心しやんといてな?俺と詩音くんの番まだやから」