「じゃあ何?」

忍が訊ねると、二人に腕を取られた。振り解こうにも力の差があり、逃げられない。

「俺らのどっちかが勝ったら、あんたは勝った方と結婚する。そんで俺らが負けたら結婚はなし!どう?」

耳元で詩音に吐息混じりに言われ、忍はびくりと肩を震わせる。誰かと結婚するなど想像したこともなかった。忍の胸には結婚する気などない。

「あれ?顔真っ赤やん。ってことはやっぱり男性経験なしってこと?かわええね」

千里に頰をスルリと撫でられ、忍は顔を二人からそらした。先ほどから女性たちの叫び声がうるさい。

「とにかく、ゲームを始めましょう!」

忍はそう言い、突然始まった三角関係での恋のゲームバトルが始まったのだ。しかし、今のところ決着はついていない。

「ここまで勝負が長引くっていうのも不思議やねぇ」

千里の言葉に詩音も「本当だよな」と頷く。忍は黙って神経を集中させていた。自分の自由のためにも、この勝負に負けられないのだ。いつも引き分けだが、今日ことは勝って勝負を全て終わらせたい。