小学生の頃、母さんにどこの大学に行ったのかを訊いた。母さんは、
「海山大学の経済学部って言いたいけど、文学部だよ。」と悲しそうに笑った。
「なんで、経済学部じゃないの?」
「落ちちゃったの。でも、そこで文学部でもいいから入りたいって思ってなかったらお父さんと会えなかったのよ。」そう言った母さんの顔は嬉しいそうだったのを覚えている。
「母さん。俺、母さんの大学の経済学部に入る!」と言うと母さんは驚いた顔をしてから目を細め、「頑張りなさい。」と言って俺の頭を優しく撫でてくれた。
あの頃は、父さんも母さんも大好きだった…
父さんがあんな事になる前までは…