兄さんがバイトに行き数分後、部屋に景都が来た。
「兄さん。大丈夫?」と景都は訊いてくる。
「大丈夫。あのさ、」俺は景都を手招きし、大学のパンフレットを見せた。
「これ、どうしたの?」
「この部屋で見つけたんだ。」
「それで?」
「この大学聞き覚えない?」と訊くと景都はウーンと悩み始めた。
「これ、母さんが卒業した大学じゃない?」と景都は言った。
「え?でも、母さんは文学部じゃない?」
「いや、違うよ兄さん。」
「何が?」俺が訊くと、
「母さんは経済学部に落ちて文学部に入ってるんだ。」
初めて知った事だった…