「…っ、ミナト…」



「好きだよ」って言いたい。


「ごめんね」なんて言えない。


言いたくない…。



言いたくないっ。




「さくら…?」


何も言うこともせず、ただ「ミナト」と名前を呼ぶわたしを不思議そうにミナトが見た。



「ミナト…」





言いたくない…けど…


言わなくちゃいけない。



爪が食い込んで血が出そうなくらい、強く強く、手を握った。



手の痛さなんて感じなかった。

心が痛くて、痛くて、痛くて、たまらなかった。






「…ごめ…、ごめん、ミナトっ」




ミナトの顔を見て言うことが出来なかった。