サクラアメ 【完】



お父さんがいなくなった部屋。

お母さんは悲しそうな目でわたしを見る。



そんな目をするなら、何とかしてよ。

わたしの将来を、わたしのモノにしてよ。



わたしの将来を…

会社の、家の、あの人のモノにしないでよ。



そんなこと、絶対に口には出来ないけれど。




「ごちそうさまでした…」

いつもは美味しいはずのご飯も今日は味がしなくて

残してしまった。


作ってくれた人には申し訳ないけど今は完食する余裕がないの。





「部屋に戻るね」


「さくら。お父さんの気持ちも…」


「分かってるからっ…!」



お母さんの言葉に無性にイライラしてつい、声を荒げてしまった。