「その日は…先約があって……」


「一之瀬さんとの事を優先しなさい」


「…っ、でもっ…」


「一之瀬さんからの誘いだ。断るわけにはいかない。
一之瀬さんのことよりも大事な用なんてないだろう」




なんで…。
なんでお父さんはそんなこと言うの?



ミナトとの約束は、一之瀬さん、あの人からの誘いより大事だよ。




「お願い…その日は、」


「さくら」


「…っ」


お父さんの決して大きくはないけど、良く通る低くドスの効いた声が聞こえ思わず肩を揺らした。