サクラアメ 【完】



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「あれ、お父さんとお母さんは?」



家族で食事をする為の部屋に来てもお父さんとお母さんの姿がなかった。




「旦那様はお仕事です。
奥様も会社におられるかと」



近くのお手伝いさんが言った。





「そうなんだ…」




ここ最近は、家族で食事した記憶がない。



多忙なお父さんと、それを支えるお母さん。


忙しいのは分かるけど、たまには家族で食事をしたい。




一人では広すぎる部屋で食事をしないといけないのは、寂しい…。




「体調が優れませんか?」




箸を止めたわたしにお手伝いさんが心配そうに駆け寄ってきた。