「さくらは俺が夢を捨てることも、親や友達を捨てることも、本当は受け入れられないんだよ」
「⋯っそんなこと、ない」
「あるよ。わかる。さくらはそういう子だって。優しいから、真っ直ぐだから、純粋だから。心に引っ掛かるんだろ?これで本当にいいのかって」
「⋯っ」
「悩んでるから、迷ってるから、昨日泣いたんだろ?」
「っちが、」
「さくらのそういう優しくて温かいところが好きなんだけど⋯救われてきたんだけど⋯だけどさくらがそういう子だからこそ、これ以上はもうどこへも行けない」
「⋯そんな事言わないでよ、」
「ごめん。⋯俺はさくら以上な大切なものはないよ。だけど俺がさくらを苦しめるなら、」
「苦しめてなんてないっ⋯!」
「⋯」
「ミナトといる時だけが幸せなのにっ⋯」
「⋯さくらだけは捨てられない」
「っ」
「さくらの幸せだけは諦めきれないんだよ」
「⋯っなんで、⋯なんでっ?」
それならこのままわたしとどこかへ行こうよ。誰も手の届かないところまで、二人だけで。
そう思うのに、どうしてそれが言葉として出てこないのだろう。
「俺が全てを捨てることでさくらが悲しむならもう無理なんだよ。わかるだろ?」
「っ」
「さくら」



