朝、目を覚ましたのは午前四時すぎ。
やはり心は落ち着かなくて目が覚めてしまったのだ。
わたしを抱きしめたまま寝ているであろうミナトの顔を見上げればその瞳は開いていて。
「起きた?」
「⋯うん。ミナトこそ起きたの?」
「少し前に」
そう言って微笑むミナトにその言葉が嘘だとすぐにわかった。
証拠なんてないけれど、ミナトは一晩中起きていたんだと思う。
「なあ、さくら」
「どうしたの⋯?」
「ちょっと外に出ない?」
「外に?」
突拍子もないその発言の意図が掴めず首を傾げるわたしにミナトは「少し話そう」と真剣な表情を向けた。
ドクンと嫌な音を立てる心臓が気の所為であって欲しい。
嫌な予感のする心配はただの杞憂であって欲しい。
手を繋いで宿を出る。
わたしの手を包むミナトの手のひら。
その力はいつもより僅かに強かった。



