さくらが「ありがとう」と微笑んだ瞬間、
ブワッと1つの風が吹いた。
それと同時に桜の花びらが散っていく。
ヒラヒラと、散っていく。
「……っ」
何となく、さくらの方を見るとさくらは散っていく桜を見上げていた。
その姿はとても美しかった。
さくらを引き立たせるように、桜が散っていっているかのようだ。
まるで、桜の女神の様。
サラサラと靡いている綺麗な黒髪。
それに映えるピンクの花びら。
キラキラとした瞳で切なそうに桜の花びらを見ている彼女は、人間離れした美しさだった。
だけど、切なそうに、悲しそうに桜を見上げるさくらはどこかに行ってしまいそうだ。
「さくら…、」
思わず、名前を呼ぶ。
そうしないといなくなってしまいそうで…。
だけどさくらは聞こえていないのか返事をしない。
それどころか周りなんて見えていないかのように
ただただ、散っていく桜を見つめていた。
怖かった。
あまりにも美しい、その姿が。
今にも消えてしまいそうな彼女が。
フッと、瞬きをしている間にも消えてしまいそうだった。



